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■主な目次■

□ちょっと長めの巻頭言 永田洋光
観客動員低迷のトップリーグに愛の手を!

特集
□大学選手権展望座談会《前編》
「一番見たいカードは慶應対東海、決勝が早慶戦なら超満員?」
●早稲田が慶應に、ああいうふうに負けてはいけない?
●なぜ大学生はハイパントが捕れないのか。
●練習メニューの豊富さがハイパントが捕れない原因?
●日本人に一番合ったプレーをしているのが天理のトンガ人の両CTB
●大友信彦が早稲田に注目する理由
●監督就任1年目の選手権優勝は意外に難しい
●3人3様の注目選手

連載コラム
◆大友信彦の今週はどこに行こう? 大友信彦
―あらゆるラグビーを網羅する目利きが選んだ今週の注目試合とは?
●12月18日はどこへ行こう?
●12月19日はどこへ行こう?

*     *     *     *     *     *

★ちょっと長めの巻頭言 永田洋光━━━━━━━━━━━━━━━★

観客動員低迷のトップリーグに愛の手を!

12月のトップリーグは、濃密な攻防が目白押しだ。

4日の名古屋・瑞穂公園ラグビー場。
34―28と東芝ブレイブルーパスをリードしたトヨタ自動車ヴェル
ブリッツが、東芝陣内に10メートルほど入った地点でペナルティキッ
クを得ると同時に、試合終了のホーンが鳴り響いた。

ボールをタッチに蹴り出せば勝利が確定。4トライ以上のボーナスポ
イントがついて5ポイントがトヨタに加わることになる。

しかし、トヨタはPGを選択。SOオレニ・アイイがボールをプレイス
した。

皮肉なことにこれが濃密な5分間のキックオフとなる。
緩やかな弧を描いて左にそれたボールを捕った東芝は、全員が即座
にカウンターアタックの態勢を整えた。ボールの行方を追っていた
トヨタの選手もスクランブル態勢でフィールドに散る。

トライを奪ってゴールを決めれば東芝の勝ち。80分かけて築いた
トヨタの勝利が砕け散る。

東芝は着実にボールをリサイクルし続けて数メートル単位で前に出
る。やがて赤い波濤はハーフウェイラインを越え、10メートルライ
ンも越えた。

そしてトヨタ陣22メートルライン上。

薄く長く広がったトヨタの防御ラインのギャップへ東芝CTBニール
・ブリューが走り込む。裏へ出れば完全なトライチャンス。しか
し、トヨタの選手が両足首をつかんで止めた。途中出場のルーキ
ーFL安藤泰洋のビッグタックルだった。

このタックルで陣形を立て直したトヨタは、最後も渾身のタック
ルで東芝のノックオンを誘ってようやく勝利を手に入れた。
「これから先(の順位争い)を考えると、あそこで3点を加えて東芝
のボーナスポイントを1つ減らすのがベストの選択だった」
もう少しで敗戦コメントを述べるところだったトヨタ中山義孝主
将は、そう意図を説明した。

勝利キャプテンになり損ねた東芝・廣瀬俊朗主将は、「東芝はアタ
ックのチーム。最後の5分間にトライできなかったことが一番悔し
い」と、濃密な時間帯を振り返った。

翌週11日。
東京・秩父宮で東芝対神戸製鋼コベルコスティーラーズ、三洋電機ワ
イルドナイツ対サントリーサンゴリアスの死闘が繰り広げられている
頃、千葉市のフクダ電子アリーナでもファイナル・ミニッツの濃密な
攻防が戦われていた。

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス対NECグリーンロ
ケッツだ。

こちらも終了のホーンが新たなキックオフを告げたかのようにゲーム
がヒートアップ。

興奮が頂点に達したのは、NECがNTTコムの猛攻からボールを奪い
返した場面。SOブライス・ロビンスがタッチに蹴り出せば19―19
の引き分けで終わり両チームに勝ち点2が入るのに、ロビンスは前方
に大きくボールを蹴り込み、勝利の4ポイントを奪いに行った。

このピンチに懸命に戻ったNTTコムFBマーク・ジェラードも、
自陣22メートルライン上でボールを捕ったにもかかわらず、引き
分けを拒否してカウンターアタックに出る。

そしてLOアダム・ウォレスハリソンが決勝トライを挙げてNTT
コムが凱歌をあげた。

こうした熱戦が続くにはもちろん理由がある。
明快な勝ち点システムと、情状の入り込む余地がないタイムキーパー
制。それに加えて、1位から4位が優勝をかけたプレーオフに進出
するだけではなく、5~10位は日本選手権出場をかけたワイルド
カードトーナメントに、11位12位は入替戦に進むレギュラーシー
ズン後のスケジュールが順位争いの熾烈さを加速させている。

4位と5位、10位と11位、そして"残留境界線"となる12位と
13位では、天国と地獄ほどの開きが出るから、どのチームも
必死でポイントを取りに行く。劣勢に諦めるチームに未来はなく、
優勢におごるチームは最後に手痛い反撃を食うのがトップリーグな
のである。

しかし、トップリーグにも大きな弱点がある。ズバリ、観客動員力
だ。冒頭のトヨタ対東芝戦の観客は5,599人。NTTコム対NEC
戦は2,057人だ。こんな凄い試合がこれだけの人にしか見られて
いないのは非常にもったいない。

11日の秩父宮は、東芝対神戸、三洋対サントリーの黄金カードに加え
て、今季限りで引退を表明した大畑大介(特報! 次号から「大畑大
介ラストラン」を連載で追いかけます)のレギュラーシーズン最初で
最後の登場もあって13,251人が詰めかけたが、今季2番目の
大入りを加えても第10節終了時点で総観客数は241,787人。

目標の40万人はおろか、手前の30万人にもまだ手が届かない。

企業色の強い応援風景に感情移入が出来ない/大差の試合が多い/
会場が遠くて見たいカードに足が運べないなどなど、トップリーグ
を見に行かないさまざまな理由を多くのラグビーファンから聞かさ
れる。確かにそれも、一面で真実をついている。

でもねえ……と私は思う。
そういうファンに限ってこういう忘れられない試合を見ていない、
というのも事実なのである。

今週末の試合も入れて残るは3節21試合。
各試合に7,534人が足を運べば、観客数は目標を超えた
400,001人となる。

本誌連載の『今週はどこに行こう』にもある通り、今週と来週は不
幸なことに大学選手権と重なってしまうが、そんな状況でも目標を
何とか達成させるのがラグビーファンの底力。

一人ひとりが「ゲスト」から「ホスト」になったつもりで、知り合
いを誘い合わせてスタジアムに足を運ぼう。そして、ホーンが鳴っ
ても5分以上続く濃密な攻防戦に酔いしれようではないか。

ちなみに今週末は、以下の3試合が永田の推す「濃密な5分間」候補
である。
◇クボタスピアーズ(13位)対コカ・コーラウエストレッドスパーク
ス(12位)=18日12時キックオフ/大阪・花園ラグビー場

◇ヤマハ発動機ジュビロ(10位)対豊田自動織機シャトルズ(14位)=
18日13時キックオフ/静岡・ヤマハスタジアム

◇NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(11位)対リコー
ブラックラムズ(9位)=19日13時キックオフ/茨城・ケーズデンキ
スタジアム水戸

★大学選手権展望座談会《後編》━━━━━━━━━━━━━━━★

「一番見たいカードは慶應対東海、決勝が早慶戦なら超満員?」

出席者
大友信彦 村上晃一 永田洋光(聞き手・構成)
収録=12月7日

■前口上=前回のあらすじ■
大学ラグビーを主にテレビ観戦に頼っている永田が、現場でしっかり取材
をしている"チームメイト"(20年前に現在の吉田義人・明治大学監督の
現役時代に、コメントを取るためにいっしょに殺人的な"吉田モール"に
突っ込んだ)の大友信彦さんと村上晃一さんに教えを請う形でこの座談会
は始まった。

前編では最初は普通に各リーグの総括を話していたが、大学選手権の改革
と才能が突出した大学生の強化・育成を巡って議論が白熱。しかし、灰皿
が飛び交うこともなく(全席禁煙のカフェだったので)、大学チームの強化
とエリート選手の強化は別に考えた方がいい……という着地点を見いだし
た。

後編の今回は、いよいよベスト4の展望、そして注目選手へと話題がヒー
トアップする!

*前編はこちらをご覧ください。
http://rugbyrugbyjapan.com/sample101210.html
*大学選手権組み合わせはこちら
http://www.rugby-japan.jp/national/college/2010/id9331.html

●早稲田が慶應に、ああいうふうに負けてはいけない?

永田 大学選手権の行方を考えると、前回優勝の帝京大学の不調が気に
なります。

前編で村上さんから「ブレイクダウンに人数を割かないようにした結果、
相手に食い込まれている。選手権ではもっとFWでガンガン来るんじゃない
か」という指摘がありましたけど、個人的には、FWのフィットネスが若干
低下していてディフェンスに回った時にギャップができる。だから、相手
バックスに抜かれる、という印象を受けるんですが。

大友 昨シーズン4位から優勝したことで、対抗戦の1試合1試合にこだわ
り過ぎないようにしようというところが見受けられる。それは別に悪いこ
とではないんだけど、大学ラグビー的には感動が薄い(笑)。

対抗戦でギリギリの勝負にこだわらない分、新しいことにチャレンジして
いるのは魅力なんだけど、そのこだわりのなさがちょっと物足りないとこ
ろでもある。大学選手権は1回戦で関東学院大学といきなり厳しい試合を
することになって、もしもそこで負けてしまえば今シーズンやってきたこ
とが全部が否定されてしまう。それはちょっと可哀想な気がします。

永田 せっかくの選手権だから、普段のリーグで対戦していない相手とも
う少し試行錯誤させてあげたいですよね。

村上 もちろん僕らとしては、もっと面白い対戦がたくさん出てくれば嬉
しいんですけど、大学選手権は別に今のままでもいいんじゃないですか
(笑)※前編参照※。

それよりも、ジャパンの強化を考えれば、各大学のことより、まず、いい
選手を伸ばさないといけないと思います。

永田 各大学にいるいい選手が天狗にならずに、意識を高く持ってトレー
ニングできるようにする……と。

村上 そう。それは日本ラグビー協会がまずやらないといけないこと。
大学ラグビーは、チームの事情より大学側の姿勢が大きく影響する。

たとえば、入試に一切特別枠を設けない大学だってあるし、そういう大学
に優勝しろと言っても、それは無理な話ですからね。

大友 じゃあ、早稲田大学はどうなんだろう?

今年の早慶戦はすごく考えさせられる試合だったと思う。大雑把な言い方
ですが、今の早稲田には高校時代の各学年の、ナンバー1からナンバー3ぐ
らいまでの選手がほとんど揃っている。

それに対して、慶應義塾大学は高校日本代表レベルの選手はほんの一握り
しかいないけど、ものすごくいい戦術を立てて、いい練習をしてきて、す
ごく感動的な試合で勝った。才能を努力が凌駕したという意味でも、すご
い試合でした。

でも、冷静に考えたら、あれだけの才能を送り込んでもらった早稲田があ
あいうふうに負けてはいけないと思う。あの結果はないですよ。

もちろん、早慶戦のような試合が起こるのが大学ラグビーの面白さだと考
えているだろうし、早稲田ファンなら「次にやる時は早稲田がやり返すよ。
それが大学ラグビーの面白さだよ」と楽しみにしていると思う。実際にそ
ういう言葉も聞いたし、僕もそういう試合に感動して40何年生きてきたん
ですけど(笑)、それで才能のある選手たちの4年間の足踏みが正当化さ
れるのだろうか。

ちゃんと育つ機会を与えられていれば、山中亮平(SO)なんかこんなレベル
の選手じゃないですよ。ジェームズ・オコーナー(現在20歳でオーストラ
リア代表として26キャップ)と同じステージでやっているべき選手です。

慶應の頑張りに水を差すつもりは一切ないですが、この問題は、感動的な
ゲームをしたことで正当化されることではない。日本協会はその点を見据
えないといけないでしょう。ふと冷静になった時にそんなことを考えまし
たね。

●なぜ大学生はハイパントが捕れないのか。

永田 今シーズンの大学選手権を見る上で、何かプレー上の注目点はあり
ますか? 永田的には、ブレイクダウンで防御側がカウンター・ラックを
仕掛けて競り合うようになってきたのが非常に喜ばしい。

あそこで競り合う癖をつけないと、どんなグレードにしろ代表に選ばれた
時に、外国チームにガバッと仰向けにされてボールを奪われますから。

それから、早明戦を見てて、あらまと思ったんだけどハイパントが捕れな
い。「ちゃんと捕れよ」と言いながら見ていたんですが(笑)、この二つは
選手権を通じて注目したい。

村上 そう。ハイパントって捕れないんですよ、今の学生は。
以前、京都成章の湯浅泰正監督が「今はハイパントを捕れない子がムチャ
クチャ多い」と言ってたんですが、原因は、中学の時にやるジュニア・
ラグビーでキックをほとんど使わないところにあるのでは?

だから高いボールを捕る練習をしていない。当然、高校に入っても、けっ
こういい選手なのにハイパントを捕れない。練習していないからなんです。

今のラグビーでは、ハイパントを捕ることよりもディフェンスでしっかり
とラインを作ったり、攻守に組織的な動きが優先されるから、ただキック
を上げてそれを捕るだけの練習に割く時間がない。

子どもの頃からの問題だから、今の時点で下手な子はすぐには上手くなら
ない。これはもう、しょうがないんですよ(笑)。

永田 でも、たとえば昨年行われたJWCでもサモアやスコットランドの選手
は普通にダイレクトでハイパントを捕れるでしょ?

村上 彼らは、最初からガチンコのラグビーをやっている。日本は安全対
策もあって12人制のジュニア・ラグビーを中学に取り入れて、しかもボー
ルを展開するラグビーを奨励しているからキックがほとんどない。その差
でしょうね。

永田 なるほど。ワガママな選手に勝手にボールを持たせると、まず蹴り
ますからね(笑)。

村上 でも、世界的にも意外に下手ですよ。ワラビーズの選手が落とした
りする。もちろん上手い選手は上手いんですが。ハイパントを捕る練習に
割く時間が少ないんだと思いますよ。それと、ボールが軽くなった影響も
あるかもしれないですね

大友 慶應の小澤直輝(NO8)は上手いですね。山本英児(OB=九州電力)
以来だと思う。

村上 キック戦略を取り入れていますからね。練習でキャッチする機会も
多いんじゃないですか。昔の選手の方が上手かったのは、キックが多いラ
グビーをやっていたから。展開重視のラグビーを続けていると、練習する
時間がないんですよ。

●練習メニューの豊富さがハイパントが捕れない原因?

永田 昔は落としたらゲンコツが飛んできたからね(笑)。でも、元FBとし
てどう思います? もっと改善した方がいいと思いますか?

村上 単純にもっと練習した方がいいと思うだけです(笑)。

ただ、今のラグビーの方がユニットで動く練習が必要だし、当然そこに時
間を多く割くことになる。やることが多いんですよ。僕らの頃はキックを
蹴り合って、それを捕ってパスして……という練習に1時間も2時間も割い
ていましたけど(笑)、今はPRだってパスしなきゃいけない。組織で動く練
習が優先されるのは当然でしょうね。

それ以外にも、スクラムを組んでラインアウトを合わせて、ブレイクダウ
ンにも取り組まないといけない。やるべきことがあまりにもたくさんある
ので、ハイパント・キャッチが優先されなくなって下手になった。そうい
うことだと思いますよ。

大友 木本建治監督時代の早稲田は、練習前にバックスがほぼ全員グラウ
ンドの両端に並んでキックを蹴り合っていましたね。

永田 昔はそれが普通だったんじゃないかな。僕らも「集合」の声がかか
るまでFWもバックスもみんないっしょにボールを蹴っていたし。

村上 昔の選手はあまり練習方法を知らなかったから、とりあえず蹴っと
け、みたいな感じだったんじゃないですか(笑)。だって昔はパスとキック
を練習してスクラム組んで、あとはランパスでしたから。

大友 あとはゴロゴロ(笑)。
【注:地面にボールを転がしてセービングに飛び込む練習】

村上 今は大変ですよ、コーチの知識も飛躍的に増えて、教えたいことが
いっぱいある。

永田 なるほど。インターナショナルを目指す選手はぜひ練習してくださ
い、としか言いようがないですね。

村上 そうなんですよ。だから、本当に練習した方がいい。

大友 これは前から考えていたことだけど、みんな同じような年齢の、同
じレベル、意識のところだけで経験を積んでいる。だからこそ、突出した
選手は「飛び級」させて、上のグレードでやらせたい。

周りのレベルが違えばハイパントだってあるだろうし、ブレイクダウンで
異常に身体の使い方の上手い選手がいたり、そういう自分の強さや速さだ
けでは解決できない経験を少しずつ積めると思う。経験の質は間違いなく
上がる。均質的な世界にいるとスキルも均質になっちゃうと思うんですよ。

村上 確かにそうですね。
でも、基礎練習って、時間がかかるんですよ。だから、どうしてもグラウ
ンドに5時間も6時間もいるようになってしまう。

昔の早稲田はそういう感じだったんでしょうけど、今はどのチームも練習
は短時間で集中してやる。個人スキルは自分で練習する以外にないんです
けど、なかなかねえ……これが難しい。

大友 遊びみたいな個人練習のなかからいいプレーが生まれたことはあっ
たし、それが、自発的な工夫や自主性に結びつく部分も確かにあった。

今は、オーバー・コーチングの弊害かもしれないけど、選手が与えられる
ことに慣れ過ぎていて、自分で考えようとしにくくなっている部分はある
でしょうね。

●日本人に一番合ったプレーをしているのが天理のトンガ人の両CTB

永田 他にスキルの部分で注目したいポイントはありますか?

村上 僕は、天理大学のアイセア・ハベアとトニシオ・バイフの両CTBの
上手さに注目しています。彼らは近い間合いではスクリュー・パスを放ら
ないんですよ。パンパンとボールを浮かして、入ってくる選手のスピード
やタイミングを上手く使う。

そういう選手は他の大学であまり見ない。早稲田にしても慶應にしても、
幅の広いラインを敷いてロングパスを放るでしょ。

でも、天理のように接近してパンパンとボールを浮かすようなプレーの方
が、本当は日本人に合っている。日本人に一番合っているプレーをトンガ
人がやって、しかもムチャクチャ上手い(笑)。昔のジャパンの選手に言わ
せたら「まだまだ」でしょうけど、でも、昔のジャパンに一番近い。

天理に限らず、そういうタイミングで抜くようなプレーを見たい。ライン
の幅で抜くのではなくて、タイミングでスパーンとゲインラインを切るよ
うなプレーがあまりないんですよね。

永田 トップリーグに今季昇格したNTTコミュニケーションズシャイニン
グアークスのSO君島良夫が、時々WTBの友井川拓とのホットラインで、
短くフラットなパスを放ってディフェンスを抜く場面がありますけど、
ああいう感じ?

村上 そうですね。
大学ラグビーは、体格の小さなチームがそういう工夫をするので、そこが
面白い。

1回戦の早稲田対大阪体育大学の試合がどうなるかわかりませんけど、こ
ういう試合で弱いと言われるチームがどういう工夫を見せるか。慶應対
近畿大学で近大が何か工夫したプレーをするか。

そういう工夫が1個でも2個でも成功すれば、それが彼らの財産になる。
実力差があるなかで大学生が一所懸命考えて工夫する――そんな
場面が見たいですね。

●大友信彦が早稲田に注目する理由

永田 ベスト4以降がどうなるか、お二人の展望を訊かせてください。

大友 これは展望とはちょっと違いますが、早稲田に非常に興味深く注
目しています。

というのも、辻高志監督以下現在のスタッフは、90年代に小さかった早
稲田がどうやって大きな相手に勝つかを極めた世代。結果は出なかった
んですが、オレたちの理論は絶対に正しいんだと追求した人たちが、今
のコーチングスタッフに入っている。

FBの井口剛志なんか「長井真弥コーチのディフェンス理論通りにやれば
絶対に抜かれない。あとは理論通りに僕が走れるかどうかだけ」と言う
ぐらい、選手も薫陶を受けている。

ただ、突出した才能の持ち主がいないなかで辻監督たちが現役時代に練
り上げた戦術理論が、今の、自分たちよりももっと優れたパフォーマン
スができる、才能に恵まれた選手たちに本当に合うのかどうか。清宮克
幸元監督時代の、強さをより前面に押し出していたスタイルとは対極に
ある。この実験には本当に注目しています。というか、ドキドキしてい
ます(笑)。

村上 各リーグの順位で言えば対抗戦グループが軸だと思います。
普通に考えると、準決勝が早稲田対明治大学か筑波大学。反対側が東海
大学対慶應か帝京。関東学院大学は帝京に勝っても、次もまた勝つのは
厳しいんじゃないかな。

だから、再戦再戦が多くなって、それがどんな影響を及ぼすか。そこに
注目したいですね。

永田 ということは、筑波対流通経済大学は筑波が勝つ……と?

村上 どっちが勝つのかわからない。流経大はデッカイですけど、で
も、筑波の方がちょっと強いと思いますね。

大友 僕も、流経大はすごくいいチームだけど、若干筑波の方が強い
と思う。でもなあ、筑波は勝負弱いんだよな。反対側の準決勝が東海
対慶應になったら相当いい勝負になると思いますね。

村上 面白いですよね。どうなるか見てみたい。

永田 確かに一番見たいカードですね。

村上 あとは、明治がどのぐらい伸びるか。

永田 明治はひたむきにタックルして勝つことで、オレたちはできる
と自信を深めてきたチームに見えたんです。ところが、早明戦では最
初に攻める展開になってしまった。だから、そこでペースが狂っ
た……というのが個人的な見解ですけど、ああいうチームは負けると
どうなるのかな?

シュンとなってしまうのか、それともさらにパワーアップするのか、
そこに注目しています。

村上 明治は吉田義人監督が思っていたよりも早く強くなったと思うん
ですよ。もちろん毎年日本一を目指すんですけど、今シーズンはいきな
り対抗戦で全勝優勝しそうになった。

選手たちは本気だし、監督も本気なんだけど、でもどこか1年後か2年後
に完成像を描いていたように思えるんです。今季のチームはまだかなり
粗削りなところがありますから。

完成にはまだまだの状態でここまで来ているのは選手たちの能力が高い
からなんですけど、それだけに準決勝を勝ち上がったらそのまま優勝ま
で行く可能性がある。大化けしそうな気がするんです。

だから明治は未知数。普通に考えると、筑波との再戦も厳しい試合にな
ると思うんですけどね。

大友 でも、クジ運いいですよね(笑)。

●監督就任1年目の選手権優勝は意外に難しい

村上 監督の現役時代の選手の格を考えると、吉田監督がダントツです
よね。

大友 辻監督も日本代表でワールドカップに出場してますけどね(笑)。

村上 でも、監督の腹が据わっているかどうかも大事な要素になるんで
すよ。東海大の木村季由監督や帝京大の岩出雅之監督、慶應の林雅人監
督はその点大丈夫だと思いますが、吉田監督や辻監督がどうなるのかは
ちょっとわからないな(笑)。

大友 実は、就任1年目で大学選手権にいきなり優勝した監督は非常に
少ないんです。一番最近が、1996年度明治の寺西博さん(笑)。

永田・村上 それ、新監督って言わないんじゃない(爆笑)。

大友 それ以前だと76年度の早稲田・大東和美監督(現・Jリーグチェ
アマン)までさかのぼりますね。

監督1年目で選手権に勝った監督は意外に少ないんですよ。上田昭夫監督
(慶應)も2年目だったし、木本監督(早稲田)も2度目の就任の2年目。武村
秀夫監督(法政大学)も2年目。

村上 おお。そうか辻監督は1年目なんだ。じゃ東海大か慶應か(笑)?

大友 吉田監督が2年目ですけど、もし辻監督が勝ったらすごいですよね。

村上 清宮克幸監督(早稲田)も2年目に優勝だった。

大友 早稲田は、他の大学よりも監督交代が多くて、監督がチームの文
化を創っていく傾向がありますけど、今は中竹竜二前監督が4年間かけ
て変えた文化を、また新しく変えている最中だから、どうしても摩擦が
起こる。

それは決してマイナスというのではなくプラスになる部分もあって、その
摩擦をどんな推進力にするのか、ものすごく興味がある。簡単な話ではな
いと思いますが、だからこそ、今季勝ったら凄い。

村上 なるほど。面白いですね。

大友 早稲田は、今までの歴史のなかで上手くいかないと言われていた要
素を二重三重に抱えて選手権に挑むわけなんですよ。

永田 でも、意外に選手たちが目覚めて才能をポンと出したら、そのまま
ジンクスや何やかやを突き抜けて勝っちゃいそうな気もしますね。

村上 その可能性はありますね。
早明戦をテレビで見ていて気づいたんですけど、ロッカールームから出て
くる早稲田の選手に、泣いている選手が少なかった。あの場面に、スター
選手が多い事実が象徴されていますよね。

むしろ明治の方が、泣いている選手がほとんどだった。その辺に早稲田の
選手の「もう、感極まって泣くほどでもない」というプライドを感じまし
た。

永田 対抗戦という形式は確かにラグビーの原点かもしれないけど、現実
に大学選手権に連なっている以上、もはや早明戦すら大学選手権への通過
点でしかない。それは明治の吉田監督も記者会見で明言していましたね。

大友 それはもう必然ですよね。

村上 準決勝が早明再戦になったら、お客さんがたくさん入るだろうな。
早明、慶應対東海という組み合わせの準決勝が、一番観客動員力がありそ
うですね。

永田 集客力で言えば最高のカード(笑)。

大友 そういう意味では、東海が決勝に勝ち残っても、仮に相手が早明の
どちらかなら去年より観客は増えるでしょうね。

村上 もし早慶の決勝戦になったら、満員になりますよ。

永田 観客数で言えば、明治対慶應よりも早稲田対慶應でしょうね。

●3人3様の注目選手

永田 最後にそれぞれ注目選手を挙げてください。

村上 優勝候補チームで言うんですか?

永田 いや、大会を通しての注目選手でいいですよ。

村上 う~ん……と……。

大友 まずは慶應の竹本竜太郎(CTB)。

村上 じゃ、大友さんが言わない選手にしよう、っと(笑)。

大友 じゃ、竹本と増田慶介(慶應)と山中と有田隆平(早稲田)と豊島翔平
(東海)と……(笑)。

村上 (爆笑)。

大友 まあ、そういう選手は当たり前ですけど、僕としては豊島がどこま
でブレイクするか見たいですね。

この組み合わせでどこまでインパクトのあるプレーを見せられるかわから
ないけれども、厳しい試合でのプレーが見たい。去年の関東学院戦のよう
なタフなプレーでポテンシャルを見せて欲しいと思いますね。

村上 僕は立川理道、ハベア、バイフの天理大のフロントスリーですね。
フロントスリーとしてメチャクチャ面白い。あとは、早稲田のCTB村田大
志。すごく上手いと思った。ちょっと玄人好みですけど彼は素晴らしい。

慶應は……いつもあのタッチキックが心配になる(笑)。

大友 児玉健太郎(WTB)の突っ立った姿勢のキックね(笑)。
相手の出足を見切ったように、なんか彼のところだけ時間が違う速さで
流れているように見える。でも、本人に訊くと見切っているわけでは全
然なくて、「ボールと同じ大きさで相手の顔が飛んでくる」と言ってい
ます(笑)。

本人はテンパっていると言うんですけど、傍目には全然そう見えない。
突っ立った姿勢のまま、足を鞭のようにしならせて力を抜いてスポーン
と蹴る。あれは面白いですね。

村上 確かに面白い(笑)。
面白いと言えば、早稲田の井口の奇妙なステップも面白いし……。

大友 慶應の古岡承勲(SH)のタックルは、確かに魂のタックルなんだけ
ど、妙に軟体動物のような動きをする時がある。

早慶戦で中濱寛造(WTB)をタッチラインに突き出したタックルも、一人
で相手2人をマークした上で、中濱の上体をつかんだあとでグラウンディ
ングするボールの下に手を差し込んでトライを許さなかった。

そこまで出来るのは凄いと思います。もう1つ2つ凄いことをしてくれる
ような気がする(笑)。

村上 明治の田村優(SO)のような天才肌の選手はハマると面白い。
あとは筑波の彦坂兄弟(圭克=HO、匡克=WTB)。双子ですけど、彼らは凄
いですね。

永田 では、僕は誰も名前を出さなかった(笑)マイケル・リーチ。
リーチと慶應の小澤が準決勝で対戦して、昔のシナリ・ラトゥ対梶原宏
之みたいな、後々まで語り継がれるような勝負をして欲しいと、これは
本当に思っています。

見ていたファンが、「こいつら凄い、今すぐ代表で使って欲しい」と思
うようなパフォーマンスを見せてくれたら最高に嬉しいですね。まあ、
リーチはもう日本代表ですけど(笑)。

……と、きれいにまとまったところで終わります。本当に長時間、あり
がとうございました。

★大友信彦の今週はどこに行こう? 3━━━━━━━━━━━━━━━★

先週末はエキサイティングな試合が続きましたね。土曜日は秩父宮で、ト
ップリーグのビッグ4による豪華なダブルヘッダーを堪能。

東芝×神戸製鋼、サントリー×三洋電機とも息詰まる熱戦でした。神戸の
大畑、今季でホントに引退してしまうんでしょうか? トライこそなかっ
たけれど、猛烈な加速とディフェンス、ブレイクダウンでの読み、仕事量
はすごいですね。こういうバックスがいると日本代表の試合も締まるだろ
うに……と思いました。三洋電機の連勝を止めたサントリー、後半29分
にリザーブ4人を一気に投入したエディ監督の采配は迫力ありましたね。

三洋も、主力が次々と負傷退場する中で、紙一重の戦い。負けはしたけど
底力を感じました。

さて、今週はどこへ。

●12月18日はどこに行こう?

18日(土)。なんと関東地区では試合が組まれていません。先週は秩父
宮で豪華ダブルヘッダーが組まれた裏で、大学の入れ替え戦があったりし
たのに……こういうよくわからない巡り合わせがたまにあるんです。
花園ではクボタ×コカ・コーラウエスト、近鉄×東芝というダブルヘッダ
ー。クボタ×コーラは降格回避を懸けて負けられない戦い。すさまじい戦
いになりそうです。

●12月19日はどこに行こう?

そして19日(日)。大学選手権が開幕します。
1回戦の注目カードは、まず関東学院大×帝京大でしょう。抽選で組み合
わせが決まった直後、関東学院の大島主将は「帝京大が僕らの枠を引いて
くれると信じてました」と笑顔で話しました。

というのも、両校は昨季も1回戦で戦い、終了直前に帝京WTB伊藤拓が
同点トライ。逆転のゴールは外れて引き分けに終わりましたが、トライ数
で帝京大が2回戦へ。帝京大はそこで3連覇を目指した早大を破り、大学
選手権初優勝へ駆け上がった……という因縁があるのです。
関東の大島と帝京の滑川は、大学ラグビーでも負けん気の強いSHの双
璧。何だか、スクラムにボールを入れる場面からワクワクドキドキしそう
です。

熊谷で行われるもう1試合は、リーグ戦2位の流経大と対抗戦5位筑波大
の『茨城対決』。これも勝負の行方が見えない好カード。

筑波大で注目を集めるのは、双子のHO圭克(よしかつ)とWTB匡克
(まさかつ)の彦坂ツインズ。どちらもトライを量産するパワフルなラン
ニングが魅力で、すでにファンにはおなじみですが、この日の注目はもう
一組の兄弟。

流経大のPR山崎基生主将(4年)と、筑波大のNO8山崎章平(2年)
は2歳違いの兄弟。175センチ111キロでパワー型の兄に対し、弟は
180センチ96キロでスピードある突破が魅力。「中学の頃までは同じ
ような体格だったけど、その後向こうは背が伸びて、こっちは太った」と
兄・基生。兄弟ゲンカはした覚えがないそうで(もっとも、えてして兄は
覚えてないものですが)、これが初めての公開兄弟対決になるのかも?

同じ日、秩父宮ではリーグ戦無敵の王者・東海大が関西5位の京産大と、
対抗戦覇者の早大が関西4位の大体大と対戦。
こちらは東海大、早大の優位は堅いけれど……昨季は東海に1回戦で挑ん
だ筑波大が、後半ロスタイムまで同点の死闘を演じました。1回戦といえ
ども、トーナメントの一発勝負は何が起きるか分かりません!

そしてトップリーグは……神戸では神戸製鋼と三洋電機、そして沖縄では
サニックスとサントリーという徹底展開勝負の両雄の激突があります。
サニックスでは濱里3兄弟とPR友利と4人の沖縄出身トップリーガーが
腕を憮してスタンバイ。こっちも見に行きたいなあ。でも、沖縄はあまり
に遠すぎる……。

ご愛読ありがとうございました。
次号もお楽しみに!
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